2023年9月19日(火)に、オンライン形式にて、9月の定例会が開催されました。

今回は、旧統一教会の問題等を受けて昨年末に成立し、本年施行された「法人等による寄
附の不当な勧誘の防止等に関する法律」の概要及び非営利団体との関係における留意点に
ついて、会員の1人から解説を頂き、その後に参加会員全員で質疑応答を行いました。

同法は、成立の契機は宗教法人による寄附勧誘行為にあったものの、実際に施行された法
律の規定をみると、その適用範囲は広く法人等(権利能力なき社団または財団を含む)の
全般が個人に対し行う寄附勧誘行為に及んでいます。そのため、寄附を主要な資金調達手
段の一つとするNPO等の非営利団体も広く同法の適用対象となりえ、注意を要するとい
えます。

会員からは、現実の非営利団体の活動においては、同法で配慮事項または禁止事項として
規制されているような態様で寄附の勧誘を行うことは考えにくいのではないか(そもそも
同法に抵触する以前に、そのような悪質な勧誘を行えば悪評が立って活動を続けられなく
なる)、そうだとしても仮に同法の配慮事項または禁止事項の違反が認定された場合、認
定NPO法人等の認定基準のうち「法令違反がないこと」に抵触するとして認定取消事由
になるのではないか、各非営利団体としては、同法に抵触しにくい形態で自らの活動内容
に合った寄附勧誘行為を検討したり、寄附勧誘行為のガイドラインを定めて公開したりす
るという対応も考えられるのではないか、といった意見が出されました。

筆者の個人的な所感としては、文言上は非営利団体全般にも適用されうる広範な規制では
あるものの、当初の立法経緯に照らし、また健全な非営利団体の活動を同法の規制により
阻害することのないよう、実際の法執行は一定の悪質な事案に限り謙抑的になされるべき
もののように思われます。今後の運用においてそのように方向づけてゆくことが重要であ
る一方、非営利団体の方々には同法の規制内容が広く迅速に周知され、これに照らして自
らの団体の寄附勧誘活動は問題ないか、再確認する必要もあるように思われました。

水野挙徳