2023 5 16 ()、オンライン形式にて、5 月の定例会が開催されました。


今回のテーマは、「パブリックセクターとの付き合い方~広島県教育委員会の官製談合疑
惑に関する調査報告書等を題材に~」でした。
広島県教育委員会がその事業に関し2020 年度から2021 年度にかけて教育長と親交のあ
NPO 法人と締結した2 件の契約について、当該契約の締結や締結過程の行為等がいわ
ゆる官製談合防止法8 条及び地方自治法234 2 項に違反するとの弁護士による調査報告
書(https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/511684.pdf)が2022
12 6 日に公表されたことにより、問題となりました。


定例会では、まず会員の1 人が、同報告書を題材として関連法令や裁判例を調査・分析し
てまとめた資料を基に本件の問題点を解説しました。その後、他の参加者も交えて、受注
者となりうるNPO 等が地方公共団体のようなパブリックセクターと契約する際に注意す
べきことにはどのようなものがあるかという観点を中心に、非常に活発な議論が行われま
した。


議論では、
・調査報告書ではNPO 側についての法的な問題を対象外としているものの、関与の態様
によってはNPO 等の側にも法的責任は発生しうる上、そうでなくともレピュテーション
リスクといった事実上のリスクは懸念されるため、NPO 等の側でもパブリックセクター
との契約の際には、本件のような事業者選定方法に関する特有の問題が発生しうるという
ことを認識する必要があること


NPO がパブリックセクターに業務を提供するような事業は内容の個別性が高く価格を
中心とする競争入札には馴染まないようなものも多いと思われ、そのために随意契約の方
向で話が進む場合は特に注意を要すること


NPO 等の側としては、パブリックセクター側の違法または不適切な行為を制御するこ
とは困難である一方、パブリックセクター側から発注の公正性を害しうるような秘密情報
を開示されてしまった場合にはそのことを指摘できるように留意することが望ましいこと
・可能であれば、各地方公共団体が事業者選定方法について具体的なガイドライン等を示
して事業者選定方法の公正性に留意しているかを確認することができればなおよいと思わ
れること
等、様々な意見がされました。

本問題は、題解む団体を支援する法律家としても解しておくべき
なものであり、本会はそのよい会となりました。


弁護士 水野挙徳