皆さんは、法律相談のご経験がありますか?

皆さんが弁護士に法律相談をしようと考える場合、必ず相談の目的があるはずです。

目的は、団体がトラブルに見舞われたので対処方法を相談したい場合、書面のチェックを頼みたい場合、新規事業の法的リスクを確認しに行く場合など、団体の事情により様々でしょう。

目的が異なれば、当然に法律相談の際の留意点も異なるのですが、どのような相談にも概ね共通するポイントも、いくつか存在します。

今回は、法律相談の経験が少ない方を対象に、効率的な法律相談をするためのポイントを数点ご紹介しようと思います。

<相談前のポイント>

(1) 団体内で法律相談の担当者を決めておく

同じ問題について複数のメンバーが別個に相談をすると、それぞれが弁護士に異なった情報を提供してしまい、得られた回答に矛盾が生じる可能性があります。

(2) 相談のポイントを、あらかじめ整理しておく

以下のような点をあらかじめ整理しておくと、短い時間で効率よく回答を得ることができます。

  • 背景事情(団体の種類、活動内容、相談者の立場等)
  • 問題の所在(現在どのような状況があって、何に困っているのか)
  • 希望する結果(どのような状態にしたいのか)
  • 問題解決のために検討している手段やその手段をとった場合に発生しそうな問題点
  • タイムスケジュール(いつまでに解決したり、結果を出したりしなければならないか)

などを整理しておくと、短い時間で効率よく回答を得ることができます。

<相談時のポイント>

(1) あらかじめ整理しておいた相談のポイントを端的に説明する

相談前に弁護士にメール等で伝達しておいてもよいでしょう。

(2) 正直に話す

弁護士は守秘義務を負っていますから、相談の内容を第三者に漏えいすることはありません。弁護士が正確に状況を把握して初めて適切なアドバイスができますから、言いにくい事柄や外部に秘密にしたい事柄についても、正直に伝えた上で相談することをお勧めします。

(3) 不明点や疑問点があれば、その場で確認する

不明点、疑問点についてはその場で確認した方が、時間が無駄になりません。相談者の疑問や誤解を早めに解くことができれば、弁護士も重要部分の説明により時間を割くことができます。

(4) 回答内容を確認する

「~については、~ということですね」と自分が理解した回答内容を伝え、理解に間違いがないかを弁護士に確認するとよいでしょう。思わぬ点で誤解をしていたことが分かる場合もあります。

<相談後のポイント>

(1) 相談内容を記録しておく

記憶が新鮮なうちに記録を作成しておくことが重要です。記録の内容を弁護士に確認してもらうこともよいでしょう。

(2) 相談結果は、団体内に還元し、保存しておく

今後別の問題が起きた際に、今回の相談結果が参考になるかもしれません。ある問題に対し、どのような法的観点から、どのような判断をしたかを確認できるようにしておけば、団体として一貫性のある行動をするために役立ちます。

<書面作成や書面のチェックを依頼するなら>

(1) 関連書類があれば参考資料として提出する

他の書面と齟齬のない、統一性のある書面を作成するために有効です。

(2) 弁護士から受け取った書面は、必ず内部で確認してから使用する

特に書面作成を依頼した場合、弁護士から案が返ってきたら、それをそのまま提出したり掲載したりするのではなく、一度必ず内部で内容を確認することをお勧めします。弁護士は外部の人間であり、限られた情報の中で書面を作成しています。弁護士の作成した案は決して絶対ではなく、内部事情に照らして修正、改善の余地があります。

いかがでしたか?

上記は、必ず行わなければならない、というものではありませんが、限られた時間で効率的に必要な回答を得て、その回答を確実に活用するためには役立つかと思います。

もちろん、団体の規模や体制によって様々な法律相談の仕方があると思います。実際に法律相談に行った経験を活かしつつ、ご自分の所属する団体に適した法律相談のスタイルを見つけていただければと思います。

弁護士 五十嵐 裕美子