今回は、NPO法人等の法人にも身近な権利である「著作権」について、お話したいと思います。

NPO法人等の法人を運営していくにあたっては、その過程で様々な「著作権」を有する著作物が生み出されると思います。
著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現した、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」です。例えば、記事、チラシ、デザイン性のあるロゴ、キャラクター、ソフトウェア等がこれに当たります。

こういった著作物を活用するにあたり注意したい2つのポイントをご紹介します。

まず、①著作権が誰にあるのかをはっきりさせておくことです。

これらの著作物の作成は、対価を支払って外部の業者へ委託する場合、法人の職員やボランティアが作成する場合など、色々なケースがあるかと思います。

注意したいのは、法人のために作成してもらった著作物であるからといって、自動的に法人側が著作権を得られる訳ではないことです。

著作権は、著作物を創作した時に、創作した人に発生します(特許庁への登録は不要です)。

したがって、作成された著作物の著作権は、法人ではなく創作者に発生するのです。

ただし、この例外として、詳細は割愛しますが、「その法人の業務に従事する者が職務上作成するもの」等の要件を満たしたものについては、原則として、その法人が著作者となるとされています(「職務著作」といいます。)。
したがって、法人と雇用関係にある職員が職務上作成した著作物については、職務著作として、法人が著作権を有することとなります。

一方、外部業者やボランティアが作成した場合は、具体的ケースにもよるものの、基本的には職務著作が認められることは難しいと考えられます。

そのため、法人が著作権を得たい場合には、創作者との間で、創作者から著作権を譲ってもらうとの合意をしなければいけません。

著作権を譲ってもらえば、自由にコピーをしたり(著作権の中の「複製権」といいます。)、インターネットで公開したり(著作権の中の「公衆送信権」といいます。)することができ、法人として自由に使っていくことができます。

著作権を譲ってもらえることになったら、後のトラブルを避けるため、契約書に残しておくことが望ましいでしょう。

次に、②第三者の著作権を侵害しないことも重要です。

例えば、法人の著作物を創作する過程で、第三者が著作権を有するイラストや画像、写真などの素材を無断で使用した場合を考えます。
著作権者には、勝手に複製されない権利や、勝手に改変されない権利などがあり、これを侵害したことになりますので、損害賠償請求や、著作物の使用差止請求を受けてしまう可能性があります。

これを防止するためには、不用意な複写等を行わないよう法人内で職員等へ教育を行うこと、もし第三者の著作物を使用する必要がある場合には、著作権者から使用について許諾を得ておくこと(この時は使用目的や使用範囲についてきちんと合意しましょう)、外部業者へ作成を委託する場合は委託契約書の中で第三者の権利を侵害しないことを誓約させること、などの対応策が必要となると考えられます。

こういったポイントに注意して、著作権トラブルのない法人運営につなげて頂ければと思います。

弁護士 福田みなみ